札幌高等裁判所 昭和55年(ラ)7号 決定 1980年3月10日
抗告人 村田カネ
主文
本件抗告を棄却する。
理由
一 本件抗告の趣旨は「原審判を取消し、本件を札幌家庭裁判所に差戻す。」というにあり、その理由は別紙記載のとおりである。
二 当裁判所も抗告人の本件申立を却下すべきものと判断する。その理由は、次のとおり付加するほかは、原審判理由説示と同一であるので、これを引用する。
「民法九七六条二項所定の二〇日の期間経過後になされた遺言確認の申立であつても、右期間を遵守することが、交通、通信手段の著しい困難等の事由により客観的に期待され得ない特別の事情が存する場合には、右申立が遅滞なくなされたものである限り、同法九七九条二項の趣旨を類推して、確認の審判をすることができると解するのが相当であるけれども、抗告人主張のような事情はそれだけでは右特別事情に該当するとはいえないし、本件記録を精査しても、抗告人が本件申立をするについてかかる特別の事情が存在したものとは、とうてい認めることはできない。」
三 よつて、原審判は相当であり、本件抗告は理由がないのでこれを棄却することとし、主文のとおり決定する。
(裁判長裁判官 輪湖公寛 裁判官 矢崎秀一 八田秀夫)
抗告理由書<省略>